地球温暖化対策

日々の生活にエネルギーは不可欠です。しかし、このエネルギーをつくるのには化石燃料が必要であり、また宿泊施設や飲食店、イベントを催すのにも依存しなければならない現実があります。一方で、最近のゲリラ豪雨、豪雪や干ばつ、そして春陽荘の前を流れる陀仏川でも見られた平成16年の氾濫など、今まで見られなかった自然現象が過去に類を見ない規模で発生しています。文化財を後世に残すには、自分たちの活動が地球温暖化を深刻化させていることを自覚し、その効果を最少化するための持続可能な運営が求められると考えています。春陽荘では以下の活動が地球温暖化を助長していると考え、それらに対して活動を意識的い実施しています。

2024年春陽荘二酸化炭素排出量報告書
SHUNYOSO CARBON FOOTPRINT REPORT 2024

  1. 電力構成の見直し:契約先の電力会社がどのように発電しているかによって作用される要因です。春陽荘ではひとまず50%が自然エネルギーで発電している会社を選んで契約しています。目標は100%ですが、単価が高いのでタイミングを伺っております。
  2. 省エネの徹底:電球は大多数がLEDで、部分的に趣がある昔の器具を変えない方がいいと判断している箇所は蛍光灯を使用しています。新規導入の電化製品は省エネモデルを選択、スイッチ付のタップを導入し必要箇所だけの利用にとどめ、屋外照明は照度センサーや人感センサー付、またソーラー発電の電灯、換気扇、監視カメラを導入しています。
  3. 空調と給湯の脱炭素化:夏場はお客さまの快適性を失わないほどにエアコンを使わざるをえませんが、普段は通気が良いので夏期は網戸と蚊帳、そして扇風機利用でしのいでおります。冬季は母屋は必要に応じて灯油よりクリーンな天然ガス、宿泊棟の貴賓館では薪ボイラーで暖房と給湯をしているため、実質排出量は薪の加工や搬入のためのエネルギーを除けば実質ゼロになります。雨などの荒天の場合、また給湯温度が50度以下になりますと天然ガスに切り替わるハイブリッドシステムを採用しています。母屋でもお風呂の給湯は薪ボイラーを利用しています。
  4. 地産地消の徹底:遠いところからの食材や飲料の提供は極力避けています。外国産のコーヒーを出さず、日本茶のみに限定しているなどはその取り組みの一部です。お客様にご紹介するお店も淡路島の食材を取り扱っている店に限定し、少しでも間接的な排出量を減らし、さらに地域経済にも貢献していただくようご協力をお願いしています。また、食品ロスにつながらないメニューでのごはんの提供を心掛けているほか、宿泊客が外食の場合に食べ残しを持ち帰るための容器の無料貸出をしております。
  5. リサイクル・アップサイクルの取組:蔵で眠っていた建具や灯油ストーブをリメイクし、新しい洗面台や壁材、またLEDランプとして活用、また成長の早い竹を使った集成材フローリングやバーテーブルへの採用、淡路島で採取される淡路砂利や粉砕したリサイクル瓦での造園など、気づきにくい点にも配慮が施されています。
  6. 送迎車やアクセス情報の提供:送迎車は最大2台の車いすを搭載する特殊車ですのでEVやハイブリッドではありませんが、最短ルートの利用、アイドリングストップ、必要なものだけを車載しているなど配慮しています。アクセス情報には二酸化炭素の排出量が少ない順にご紹介をしており、また実際に排出量の見える化をしてお客様の意識啓発に努めております。
  7. 脱プラスチック:特にペットボトルは製造から廃棄やリサイクルまでのエネルギーが必要な他、マイクロプラスチック問題など環境にあまり優しくないと判断し、プラスチックをなるべく使用しないことを国内外で宣言しています。サイクリストなど、給水ボトルを持ち歩いている人にはペットボトルを買わなくてもいいように無料で水道が使える蛇口を表玄関の門柱横に設置しており、お部屋にも置いておりません。環境配慮のページでより詳しく述べています。
  8. 排出量の算出:春陽荘で使用している①送迎車のガソリン使用量 ②都市ガスとプロパンガスの使用量 ③消費電力量 ④水道消費量 はご家庭でも測定できるものであり、「環境家計簿」や事業者用「省エネ診断」などを利用してCO2の算出を定期的にしています。最終的には相殺するためのカーボンオフセットは現在海外のオフセッターを利用しています。
  9. 気候変動対策を宣言する「グラスゴー宣言」の参加:2021年11月4日に観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言が、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で発表されました。この宣言は、観光セクターが観光分野における気候変動対策を加速し、今後10年間で観光部門での二酸化炭素(CO2)排出量を半減させ、2050年までに「ネット・ゼロエミッション」を達成するための強力な行動をコミットすることを目的にしたものです。21年11月時点では全世界で約300団体が署名しておりますが、「一般社団法人春陽荘文化財保存会」として日本で3団体のひとつとして参加表明を致しております。具体的には上記の1~8を徹底的に管理し、気候変動対策をより多くの方に実践していただくための広報活動や「文化財×SDGs」達成の一環として視察ツアーを受け入れています。

2024.10.18更新