春陽荘は今に伝える昔の建造物

ようこそ、春陽荘へお越しくださいました。

ここ淡路島(兵庫県)は、古来より朝廷に食を献上する「御食国」として知られ、豊かな海山の恵み、美しい自然あふれるのどかな島です。また、お祭などの伝統行事を通して人びとの結束が強く、心かようコミュニティも残る土地柄です。

春陽荘は、昭和16(1941)年に、造船業で富を得た岩木家の社長宅兼事務所として建てられました。設計は家相方位学の権威である山本豊圓氏で、風水の思想にもとづいて設計され、地元の大工棟梁の斉藤三吉氏らが腕をふるい7年の歳月をかけて完成させました。

427坪の広い敷地には、貴賓館、蔵、客殿、寝殿、常住殿など8棟の建物があり、平成16年に国の有形文化財に登録されています。貴賓館など一部に近代的な要素も取り入れた優雅な和風建築群は、建築家出江寛氏により設計された塀や門扉とともに、調和のとれた趣あるたたずまいを創りだしています。

近年、高齢化や効率のみを求める社会の風潮に伴い、島の風景やくらしも移ろいつつありますが、この春陽荘もまた所有者による維持がむずかしくなり、長く門を閉ざしたままになっていました。そこで平成27年、このままでは痛み失われかねない貴重な文化財を現代に活かし後世に残そうと、当館を買い受け補改修に着手しました。

今日では再現が難しい伝統の技、職人の遊び心が光る意匠、そして歴史文化的な価値を知っていただき、淡路島の新たな国際観光資源として再生しようという試みです。また、現代に求められている、環境負荷を抑え低炭素・循環型社会に資する運営にも取り組みます。

新しい命を吹き込まれた春陽荘が、「島が誇る伝統文化や風習」を広く世代を超え島内外に伝えていく“場”として、訪れる人だけでなく、地域の人びとにも親しまれることを願っています。

家主 高山傑